「CAって華やかな仕事?」は本当?面接で見られる“現実との向き合い方”とは
「CAって華やかな仕事ですよね」「キラキラしてて憧れます」
よく耳にする言葉です。
もちろん、CAには“美しくて上品”なイメージがありますし、制服を着て働けることに憧れる気持ちもよく分かります。
でも、本当にCAを目指すなら、その“理想の姿”だけでなく、現実の仕事もちゃんと知っておくことが大切です。
今回は、JALでの約10年の乗務経験をもとに、CAの仕事のリアルをお伝えします。
面接で「本当にこの人はCAとしてやっていけそうか?」と見られるポイントにもつながる話です。
CA=華やか、は本当?そのイメージの背景
CAといえば、「制服」「笑顔」「丁寧な接客」といった華やかなイメージが先行しがちです。
お客様から直接「ありがとう」と言っていただける場面も多く、やりがいも大きな仕事です。
空港で颯爽と歩く姿、世界を飛び回る働き方に憧れる人も多いですよね。
私もCAを目指したきっかけは、**「格好よさ」や「世界への憧れ」**でした。
でも、実際に働いてみると、「それだけじゃ続けられない仕事」でもあると感じました。
では、CAの仕事の“現実”とは?
CAの1日は、想像以上に体力勝負です。
時間帯が不規則で、体内時計が乱れがちになります。
時差調整が得意な人はまだいいです。(私は寝れば体力が回復し、時差調整も得意だったので国際線向きでした)
国内線乗務でも、真っ暗なうちに家を出たり
深夜ギリギリに帰宅するなんてこともあったので
時差はなくても、休日はとにかくひたすら寝て体力回復に努めるなんて話もCA同士でよくしていました。
機内では常に立ちっぱなしで、重いカートを押しながらのサービス。
気圧で身体は浮腫みますし、常時、乾燥気味の機内。
過酷な環境の影響で、髪も肌も乾燥します。ハンドクリームはCA の必需品でした。
機内でも、デイフライトでは紫外線の影響も受けます。
上空では機内を歩くだけでも、地上での体力の何倍も必要で、自転車を全力で漕いでいる位のエネルギー消費だと聞いたことがあります。
つまり、地上にいる時よりもずっと体に負担がかかります。
実際、私は新人時代を除き、国際線乗務で毎月のスケジュールが埋まっていましたが
NYやロンドン・パリなど泊りがけのロングフライトをして帰国すると、2キロくらい体重が減っていて
制服のスカートがクルクル回ってしまって困っていたのを思い出します。
また、国際線のロングフライトでは交代で仮眠ができますが、眠れるのは短時間。
しかも目覚ましは他のクルーを起こさないように音なしで起きなくてはならず、熟睡などできません。
眠くても気を張ったままサービスに出ることも日常。
お客様の中には体調を崩される方や、言葉が通じない方、クレーム対応が必要な場面も。
笑顔の裏では、自らの体調管理と、冷静に、的確に、そして柔軟に動けるメンタルと体力が必要です。
サービスだけじゃない「保安要員」としての役割
面接でもよく聞かれる「CAの役割は何だと思いますか?」という質問。
多くの人は「おもてなしをすること」と答えがちですが、本来、CAは“保安要員”として採用されています。
火災、急病人、緊急着陸など、想定外の事態に備えるため、
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消火器の使い方
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心肺蘇生(AED)の操作
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緊急脱出の誘導
など、年に一度の厳しい訓練で合格しなければ乗務できません。
飛行機の種類が違えば、緊急脱出訓練で覚える内容も違ってきますし、
同じ機種でも、機内レイアウトが違う場合には、搭載されている緊急時のアイテムの場所も違います。
保安要員としては覚えることが膨大かつ、アップデートが必要です。
実際に、冷静に指示が出せずにパニックになったり、責任感が薄く緊急時の対応が完璧でない人は、
たとえ接客が得意でも訓練でOKが出ないので、フライトはできません。
面接官は「この人は続けられるか」を見ている
面接では、志望動機や自己PRだけでなく、**「この仕事の大変さを知っていて、それでも続ける覚悟があるか」**を見られています。
「制服を着たい」「旅行が好き」「英語を使いたい」──
どれも正直なCAの志望理由ですが、それだけでは“憧れ止まり”と判断されてしまいます。
そこで、CAの仕事の現実を知った上で、
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「それでも私はこの仕事をしたい」
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「人の命を預かる責任にやりがいを感じる」
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「どんな状況でも、お客様を安心させられる存在になりたい」
といった言葉を伝えると、面接官の印象は大きく変わります。
理想と現実のギャップを越えて──あなたがCAになる理由
理想だけでは乗り越えられない現実がある。
でも、現実だけ見ていたら、夢は追いかけられない。
CAは、その両方をバランスよく受け止める仕事です。
憧れの制服も、非日常の世界も、
その裏側で、命と安全を守る責任があるということ。
あなたが本気でCAを目指すなら、
どうかこの“ギャップ”も大切にしてください。
そして、自分なりの言葉で「なぜCAになりたいのか」を伝えられるように、今のうちから向き合ってみてください。