ANAが求める人物像とは?CA面接で評価される人を人的資本レポートから考察
ANAが求める人物像とは?
人的資本レポートから読み解く「面接で評価される人」の共通点
ANAの既卒客室乗務員選考が進み、書類選考の結果を待ちながら面接準備を始めている方も多いのではないでしょうか。
また、現在はエアージャパンの客室乗務員選考に向けて、エントリーシートや志望動機を考えている方もいらっしゃると思います。
ANAグループを志望する方が企業研究をするとき、企業理念や採用サイトを読むことはもちろん大切です。
それに加えて、私がぜひ参考にしていただきたい資料があります。
それが、ANAグループが2025年3月に発行した『Human Capital Story Book』です。
実際の資料をご覧になりたい方は、ANAグループ公式サイトよりどなたでも閲覧できます。
▶ ANA Group Human Capital Story Book(公式PDF)はこちら
この資料には、ANAグループが人財をどのように捉え、社員一人ひとりの行動をどのように価値創造へつなげているのかが、具体的なエピソードとともに紹介されています。
私がおすすめしたい理由は、採用のために作られた資料ではないからです。
採用サイトには「こんな人に仲間になってほしい」というメッセージが書かれています。
一方、このような人的資本レポートには、実際に社員がどのような行動によって価値を生み出しているのかが紹介されています。
だからこそ、企業研究をするときは採用サイトだけでなく、このような資料にも目を通すことで、ANAが本当に大切にしている価値観がより具体的に見えてくると私は考えています。
- ANAがどのような組織を目指しているのか
- どのような社員を「価値を生み出す人財」と捉えているのか
- 社員一人ひとりに、どのような行動を期待しているのか
これらを考えるうえで、とても参考になる資料です。
私も今回、客室乗務員の面接ではどのような人物が評価されるのかという視点で読み進めてみました。
すると、ANAが求めているのは、単に接客が得意な人や、ANAについて詳しく説明できる人ではないことが見えてきました。
この記事では、『Human Capital Story Book』の内容をもとに、ANAに貢献できる人とはどのような人なのかを、CA面接対策の視点から考察していきます。
ANAらしい言葉を使えば、ANAらしい回答になるのでしょうか
ANAには、企業文化やサービスを象徴する印象的な言葉が数多くあります。
- 「あんしん、あったか、あかるく元気!」
- 「超マニュアル」
- 「ANAマジック」
- 「ANA’s Way」
- 「鍛えた翼は強い」
どれもANAを理解するうえで、大切な言葉です。
ところが面接対策をしていると、こうした言葉を回答に盛り込むことで、ANAらしく話せていると思ってしまう方が少なくありません。
もちろん、企業が大切にしている言葉を理解することは必要です。
ただし、面接官が聞きたいのは、ANAを象徴するフレーズの説明ではありません。
面接官が知りたいのは、あなた自身のどのような部分がANAに向いているのか、ということです。
例えば、「超マニュアル」に共感したと話すのであれば、その言葉を知っていることよりも、
- 相手の状況をどのように捉えたのか
- 決められた対応だけで終わらせず、何を考えたのか
- 自分からどのような行動を起こしたのか
- その行動によって、相手にどのような変化があったのか
を、自分自身の経験から伝える必要があります。
「ANAマジック」という言葉が好きなのであれば、あなた自身がこれまで、人との関わりによって相手の不安を和らげたり、気持ちを前向きに変えたりした経験を語れるかどうかが大切です。
「あんしん、あったか、あかるく元気!」という言葉に共感しているのであれば、あなたが実際に、周囲の人が安心できる環境をどのようにつくってきたのかを伝えたいところです。
ANAの言葉を借りて、自分をANAに近づけようとするのではありません。
自分の経験や行動の中に、ANAが大切にしている価値観との共通点を見つけること。
それが、面接で行うべき企業研究の使い方です。
『Human Capital Story Book』から見えるANAの価値観
ANAグループは、人的資本を価値創造の原動力と捉えています。
資料の中では、社員一人ひとりの「努力と挑戦」と「チームスピリット」がANAグループの強みであり、価値創造の原動力であると示されています。
そのうえで、ANAグループの行動指針である「ANA’s Way」には、次の5つの考え方が掲げられています。
安全
安全こそ経営の基盤であり、すべての仕事の土台として守り続けること。
お客様視点
常にお客様の立場に立ち、最高の価値を生み出すこと。
社会への責任
誠実かつ公正に行動し、より良い社会に貢献すること。
チームスピリット
多様性を活かし、必要な議論を行ったうえで、一致して行動すること。
努力と挑戦
グローバルな視野を持ち、ひたむきに努力しながら、既存の枠を超えて挑戦すること。
ここで注目したいのは、どれも単なる気持ちやイメージではなく、行動として表すことが求められているという点です。
「安全を大切にしています」と思っているだけでは、安全を体現しているとは言えません。
「チームワークが得意です」と答えるだけでも、チームスピリットを発揮できる人とは判断できません。
大切なのは、
- 安全を守るために、どのような確認や行動をしてきたのか
- 意見の違う相手と、どのように話し合ったのか
- お客様や相手の立場に立ち、何を変えたのか
- 困難な状況で、自分から何に挑戦したのか
という具体的な行動です。
ANAが求めているのは「サービスが上手な人」だけではない
客室乗務員の志望者は、笑顔、接客力、ホスピタリティ、おもてなしといった言葉を使うことが多いと思います。
もちろん、お客様と直接関わる仕事である以上、これらも大切な要素です。
しかし、『Human Capital Story Book』を読むと、ANAが社員に求めているのは、感じの良い接客だけではないことが分かります。
資料に掲載されている社員のエピソードには、共通した流れがあります。
- お客様や現場の課題に気づく
- 自分にできることを考える
- 必要な人に声をかける
- 部署や職種の垣根を越えて協力する
- これまでになかった方法を実行する
- お客様、組織、社会に新しい価値を生み出す
例えば、機内でお客様から忘れ物の申し出があった事例では、客室乗務員が決められた案内だけで終わらせず、お客様の不安を少しでも解消したいと考えました。
そこで地上スタッフへ状況を共有し、ラウンジを捜索。忘れ物が見つかったことを、フライト中にお客様へ伝えることができました。
この対応は、客室乗務員一人だけで完結したものではありません。
お客様の気持ちを捉えた客室乗務員が動き、空と地上のスタッフが連携したことで、お客様の不安を安心へ変えています。
ここには、
- お客様視点
- 主体的な行動
- チームスピリット
- マニュアルを土台にした柔軟な対応
が、すべて表れています。
ANAが評価しているのは、ANAらしい言葉を上手に使う社員ではありません。
ANAが大切にしている価値観を、目の前の状況に応じて行動に移せる社員です。
ANAに貢献できる人とは
では、『Human Capital Story Book』全体から読み取れる「ANAに貢献できる人」とは、どのような人なのでしょうか。
1.安全を最優先に考え、安心と信頼を届けられる人
ANAにとって、安全はサービスの一部ではなく、経営の基盤です。
客室乗務員の仕事においても、笑顔や接客より前に、安全を守る役割があります。
そのため面接では、「安全が大切だと思います」と答えるだけではなく、これまでの仕事や生活の中で、
- 事故やミスを防ぐために確認を徹底した経験
- 周囲の小さな変化に気づいた経験
- 相手の安全を守るために、言いにくいことも伝えた経験
- 緊急時や予想外の状況でも、落ち着いて行動した経験
などを整理しておくことが大切です。
2.自ら考え、変化を前向きに受け止められる人
ANAグループは、社員一人ひとりの挑戦を価値創造の起点と捉えています。
航空業界は、社会情勢、天候、お客様のニーズ、テクノロジーなど、さまざまな変化の影響を受ける業界です。
その中で必要なのは、「これまでと違うからできない」と考える人ではなく、変化に応じて自分にできることを考えられる人です。
面接では、環境や役割が変わったときに、どのように受け止め、何を学び、どう行動を変えたのかを具体的に伝えられるとよいでしょう。
3.多様な仲間と協力し、チーム全体の成果を考えられる人
ANAが掲げるチームスピリットは、単に仲良く働くことではありません。
立場や考え方の違いを活かし、必要なことは真摯に話し合い、決定した後は同じ目的に向かって行動することです。
客室乗務員は、毎回同じメンバーと働く仕事ではありません。
その日初めて会う仲間とも短時間で関係を築き、それぞれの経験や強みを活かしながら、安全運航という一つの目的に向かう必要があります。
そのため、面接では「周囲と協力しました」という結果だけではなく、
- 自分はチームの中でどのような役割を担ったのか
- 意見が違う人に、どのように働きかけたのか
- 自分の考えを伝えるだけでなく、相手の意見をどう活かしたのか
- チーム全体のために、自分の行動をどう変えたのか
まで話せるようにしておきたいところです。
4.お客様一人ひとりの立場に立ち、必要な行動を考え続けられる人
「お客様視点」とは、お客様の希望を何でも受け入れることではありません。
相手が今どのような状況にあり、何に困り、何を不安に感じているのかを捉えたうえで、安全や公平性を守りながら、できることを考える姿勢です。
接客経験がある方は、華やかなサービス事例だけを探す必要はありません。
相手の表情や言葉の変化に気づき、説明方法を変えた経験や、相手が言葉にできていない困りごとを先回りして考えた経験も、十分にお客様視点を表すエピソードになります。
5.人間力と専門性の両方を磨き続けられる人
ANAグループの人財戦略では、社員の「人間力」と「専門性」の両方を高めることが重視されています。
客室乗務員に置き換えると、人への思いやりや誠実さだけでなく、保安、サービス、語学、医療対応、チームコミュニケーションなどの知識と技術を学び続ける姿勢が必要です。
面接では、「入社後に学びたい」という意欲だけでなく、これまで自分がどのように専門性を高めてきたのかも伝えたいところです。
6.困難な状況でも使命感を持ち、「今、自分にできること」を考えられる人
資料には、コロナ禍、災害、社会情勢の変化など、想定外の状況で行動した社員の事例が紹介されています。
そこに共通しているのは、環境が整うのを待つのではなく、厳しい状況の中でも「今、自分にできることは何か」を考えた姿勢です。
客室乗務員の仕事でも、予定どおりに進まない状況は少なくありません。
そのようなときに、不満や不安に飲み込まれるのではなく、自分の役割を捉え直し、周囲と協力して行動できることが求められます。
7.自分の行動がANAブランドの価値につながると理解できる人
お客様にとっては、一人の客室乗務員の対応が「ANAの印象」になります。
たとえ短い会話であっても、その一瞬の関わりによって、お客様が安心したり、ANAをまた利用したいと思ったりすることがあります。
反対に、小さな確認不足や配慮に欠ける対応が、ANA全体への不信につながる可能性もあります。
だからこそ、自分の仕事を目の前の作業だけで捉えず、その行動がチームの品質やお客様の評価、ANAブランドの信頼につながっていると考えられる人が、ANAに貢献できる人だと言えるでしょう。
ここまで読んで、「自分の経験をどう整理すればいいか分からない」と感じた方は、こちらの記事も参考になると思います。
ANAに貢献できる人を一言で表すなら
ここまでの内容を一つの言葉にまとめると、ANAが価値を生み出す人財として評価しているのは、次のような人だと考えられます。
相手のために考え、自ら動き、その行動をチームやお客様、社会への価値へ広げていける人。
大切なのは、特別な経験を持っていることではありません。
日々の仕事や人との関わりの中で、何に気づき、何を考え、どのように行動したのか。
そして、その経験によって自分自身がどのように変わったのか。
そこまで具体的に語れる人は、面接官にも、その人の考え方や仕事に向き合う姿勢が伝わりやすくなります。
次に、こうしたANAの価値観を、既卒客室乗務員の面接でどのように自分自身の経験と結び付けて伝えればよいのかを考えていきます。
出典:ANA Group Human Capital Story Book(2025年3月発行)
面接では「経験」ではなく、そこから生まれた価値を語る
面接では、経験そのものの珍しさや華やかさが評価されるわけではありません。
同じ仕事、同じ役割、似たような出来事を経験していても、伝わり方には大きな差が出ます。
その違いは、経験を出来事として説明しているか、それとも、その経験の中で自分が何を考え、どのように行動し、何を生み出したのかまで語れているかです。
例えば、
「チームで協力して目標を達成しました」
という言葉だけでは、その人が実際にどのような役割を担い、どんな工夫をしたのかは見えてきません。
一方で、
- 何に課題を感じたのか
- なぜ自分から動こうと思ったのか
- 周囲にどのように働きかけたのか
- 意見の違いをどう調整したのか
- その結果、相手やチームにどのような変化が生まれたのか
まで具体的に話せると、その人の考え方や行動の特徴が見えてきます。
私が面接対策をしていて、評価されやすいと感じるのは、特別な経験を持っている人というよりも、自分の経験を行動ベースで具体的に伝えられる人です。
さらに、その経験を通して、
- 自分の考え方がどう変わったのか
- その後の仕事で何を意識するようになったのか
- 今の自分の価値観にどうつながっているのか
まで語れると、経験が一度きりの出来事ではなく、その人自身の成長として伝わります。
ANAグループの『Human Capital Story Book』でも、社員の価値創造は、単なる成果だけではなく、課題への気づき、自発的な行動、周囲との連携、改善の積み重ねとして描かれています。
面接でも同じように、「何をしたか」だけではなく、その行動によって何が変わり、自分は何を身につけたのかまで言葉にすることが大切です。
ANAの価値観を、自分の経験で語る
企業研究でANAが大切にしている価値観を知っても、それをそのまま面接で説明するだけでは、応募者自身の魅力は伝わりません。
大切なのは、
ANAについて知っていることではなく、自分がANAの現場でどのように力を発揮できる人なのかを伝えることです。
例えば、「お客様視点」に共感しているのであれば、その言葉を使うだけではなく、
- 相手のどのような変化に気づいたのか
- 相手の立場に立って、何を考えたのか
- どのように対応を変えたのか
- その経験から何を学んだのか
を、自分の経験から語る必要があります。
ANAが大切にする価値観と、自分がこれまで培ってきた考え方や行動を結び付けることで、初めて「自分がANAに貢献できる理由」が見えてきます。
ここからは、CA経験者と未経験者に分けて、面接で意識したいポイントを考えていきます。
CA経験者は「経験」ではなく「価値観」を伝えよう
すでに客室乗務員としての経験がある方は、未経験者とは異なる視点で準備する必要があります。
経験者の場合、まず向き合いたいのが、
なぜ、ほかの航空会社ではなくANAなのか。
という問いです。
客室乗務員の仕事内容を理解しているからこそ、単に「もう一度CAとして働きたい」という理由だけでは不十分です。
これまでCAとして働く中で、
- どのようなサービスを大切にしてきたのか
- 安全について、どのような意識を身につけたのか
- チームで働く中で、どのような役割を果たしてきたのか
- 自分の強みや課題をどのように捉えているのか
- その経験をANAでどのように活かしたいのか
を、自分の視点で語れるようにしておきたいところです。
経験者の回答でよくあるのが、
- 安全を第一にしたい
- お客様に寄り添いたい
- チームワークを大切にしたい
- これまでの経験を活かしたい
という、誰にでも言える言葉だけで終わってしまうことです。
これらの言葉自体が悪いわけではありません。
ただし、同じ言葉を使う応募者が多いからこそ、あなたがその価値観を大切にするようになった具体的な背景が必要です。
例えば、「安全を第一にしたい」と話すのであれば、CAとしてどのような場面で安全の重みを実感したのか。
「チームワークを大切にしたい」のであれば、メンバーの経験や考え方が異なる中で、自分がどのように関係を築いたのか。
「お客様に寄り添いたい」のであれば、どのような働きかけによってお客様の安心や行動の変化につながったのか。
そこまで掘り下げることで、初めてその人自身の回答になります。
また、経験者だからこそ、過去のやり方に固執せず、ANAの基準や考え方を改めて学ぶ姿勢も必要です。
これまでの経験をそのまま持ち込むのではなく、
自分の経験を土台にしながら、ANAの一員として新たに学び直し、さらに成長したい。
という柔軟さまで伝えられるとよいでしょう。
【ワンポイントアドバイス】面接では、「何を経験したか」よりも、その経験によってどのような考え方を身につけたのかが伝わる回答を意識してみてください。
未経験者は「職種」ではなく「共通点」を伝えよう
未経験者の方は、「CA経験がないこと」を弱みとして捉える必要はありません。
まず、発想を変えてください。
ANAが、未経験者も多く採用している実績を踏まえ、「自分の経験をどのようにANAのCAとして活かし貢献できるのか」に拘りましょう。
これは、あなた自身が語ることで初めて伝わる強みです。
つまり、ANAの面接で見られているのは、客室乗務員として完成しているかどうかではなく、これまでの経験の中に、CAとして活かせる資質や考え方があるかどうかです。
未経験者に大切なのは、
今までの経験を、客室乗務員の現場でどのように活かそうと考えているのか。
を具体的に語ることです。
例えば、教員であれば、
- 生徒一人ひとりの変化を捉える観察力
- 安心して学べる環境をつくる力
- 保護者や同僚との信頼関係の構築
- 学校行事や引率における安全管理
- 予想外の事態に対応する判断力
などが、CAの仕事とつながります。
看護師であれば、安全意識、観察力、緊急時の対応、相手の不安を和らげるコミュニケーション。
営業職であれば、お客様のニーズを捉える力、関係者を巻き込む力、目標に向けて行動を続ける力。
接客業であれば、相手に合わせた対応、限られた時間での判断、チームでサービス品質を保つ力。
このように、現職と客室乗務員の仕事には、必ず共通する部分があります。
ただし、
「教員経験を活かしたい」
「営業で培ったコミュニケーション力を活かしたい」
だけでは、まだ抽象的です。
大切なのは、
- どのような場面で、その力を発揮したのか
- そのとき、何を見て、どう判断したのか
- 周囲や相手に、どのような変化が生まれたのか
- その経験を、機内のどのような場面で活かせると考えているのか
まで考えることです。
未経験者だからこそ、これまでの職業経験から生まれた、自分ならではの視点があります。
あなただからできること、あなただから気づけることを、CAの現場と結び付けて言葉にする。
この視点を持つことで、「未経験だから何も語れない」という状態から、「異業種経験があるからこそ貢献できることがある」という伝え方に変わります。
【ワンポイントアドバイス】「CA経験がないこと」を気にするよりも、今の仕事だからこそ身についた強みを、客室乗務員の仕事でどう活かせるかを伝えましょう。
一般論で終わらせないために、自分の価値観を言葉にする
経験者にも未経験者にも共通して大切なのが、自分の価値観を明確にすることです。
面接回答が一般論になってしまう方は、企業に合わせた正解を探しすぎていることがあります。
例えば、
- お客様に寄り添いたい
- 笑顔を届けたい
- チームワークを大切にしたい
- 成長し続けたい
という言葉は、多くの応募者が使います。
その中で違いが生まれるのは、
なぜ、自分はそれを大切にしているのか。
を説明できるかどうかです。
自分の価値観は、突然生まれたものではありません。
これまで関わってきた人、仕事での成功や失敗、悔しかった経験、誰かにかけてもらった言葉などから形づくられています。
例えば、「安心できる環境をつくること」を大切にしているのであれば、
- なぜ安心を重視するようになったのか
- 安心できない状況にいる人を見たとき、どう感じるのか
- これまで、相手の安心のためにどのような行動をしてきたのか
を振り返ることで、その人らしい言葉になります。
企業の言葉に自分を合わせるのではなく、自分が大切にしてきた価値観と、ANAの価値観がどこで重なっているのかを考える。
この順番で考えると、回答に無理がなくなり、面接官にも人柄が伝わりやすくなります。
エアージャパン受験生にも共通するANAグループの価値観
エアージャパンを受験する方にも、今回の『Human Capital Story Book』は参考になる資料です。
エアージャパンは、ANAグループの一員としてANA便の運航を担う会社です。
自社ブランド便の運航を終え、ANAブランドの国際線運航に注力する今、ANA本体と切り離して考えるのではなく、ANAグループの国際線事業をともに支える仲間として捉えることが大切だと私は考えています。
そのため、エアージャパンの企業研究では、
- ANAグループが共通して大切にしている価値観
- ANA便の安全とサービス品質を支える役割
- エアージャパンという組織ならではの働き方や魅力
の両方を理解する必要があります。
ANAグループに共通する、
- 安全
- お客様視点
- チームスピリット
- 社会への責任
- 努力と挑戦
を押さえたうえで、
なぜANAグループなのか。なぜ、その中でもエアージャパンなのか。
を、自分の言葉で話せるようにしておきたいところです。
エアージャパン受験生にも、ANAを象徴する言葉を並べるだけではなく、
- 自分がどのような価値観を持って働いてきたのか
- その価値観がANAグループの組織風土とどう重なるのか
- エアージャパンの組織の中で、どのような役割を果たしたいのか
を考えてほしいと思います。
ANA本体とエアージャパンは、まったく同じ会社ではありません。
だからこそ、グループ共通の価値観を理解しながら、エアージャパンという組織ならではの魅力を、自分がどのように感じているのかを素直に言葉にすることが大切です。
面接の準備をする際、確認したい4つの視点
ANA既卒、エアージャパンのどちらを受験する場合でも、面接回答を考えるときは、次の4つを確認してみてください。
1.その経験の中で、何に気づきましたか
ただ出来事を説明するのではなく、自分がどのような課題や相手の変化に気づいたのかを明確にします。
2.なぜ、その行動を取ろうと思いましたか
行動の背景にある考え方や価値観を言葉にします。
3.周囲にどのように働きかけましたか
一人で頑張った話だけでなく、相手との関わり方やチームへの影響を整理します。
4.その経験によって、自分はどう変わりましたか
経験から何を学び、その後の行動にどのように活かしているのかを伝えます。
この4つが入ると、回答は単なる実績紹介ではなく、応募者の人柄や成長が伝わる内容になります。
面接官に「すごい経験をした人」と思ってもらうことが目的ではありません。
この人は、ANAの現場でも同じように考え、周囲と協力しながら行動できそうだ。
と感じてもらうことが大切です。
ANAらしさを探すより、自分の中にある共通点を探そう
ANAの企業研究をしていると、「ANAらしい回答をしなければ」と考えてしまうことがあります。
しかし、ANAらしく見せようとするほど、回答が借り物の言葉になり、その人自身が見えなくなることもあります。
ANAの面接で必要なのは、企業の言葉に自分を合わせることではありません。
自分がこれまで大切にしてきたことの中から、ANAが大切にしている価値観との共通点を見つけることです。
ANAについて説明するのではなく、自分の経験を通して、
- 安全をどう捉えているのか
- 人にどのように関わるのか
- チームの中でどう行動するのか
- 変化や困難にどう向き合うのか
- 仕事を通して、どのような価値を届けたいのか
を語る。
それが、ANAが求める人物像と自分自身を結び付ける面接対策になります。
ANA面接で「惜しい回答」と「伝わる回答」の違い
ここまで、ANAが求める人物像と、自分自身の経験を結び付ける考え方についてお伝えしてきました。
しかし、頭では理解できても、実際に面接回答をつくろうとすると、
- ANAの言葉を借りすぎてしまう
- 経験の説明だけで終わってしまう
- 自分が何を考えたのかが見えない
- CAの仕事にどう活かせるのかまでつながらない
ということがよくあります。
ここでは、ありがちな「惜しい回答」と、自分自身がより伝わる回答との違いを考えてみます。
例1.「安心を届けたい」と伝える場合
惜しい回答
私は、ANAの「あんしん、あったか、あかるく元気!」という言葉に共感しています。私もお客様に安心を届けられる客室乗務員になりたいです。
この回答からは、ANAの言葉に共感していることは伝わります。
一方で、応募者本人がこれまでどのように人へ安心を届けてきたのかは分かりません。
自分自身が伝わる回答
私は現職で、相手が安心して自分の力を発揮できる環境づくりを大切にしてきました。表情や普段との様子の違いを見逃さず、必要に応じて声のかけ方や伝え方を変えるようにしています。この経験を活かし、機内でもお客様の小さな変化に気づき、安心してお過ごしいただける関わりを積み重ねたいと考えています。
こちらの回答では、
- 何を大切にしてきたのか
- どのように行動しているのか
- CAの現場でどう活かしたいのか
が見えるため、その人がANAで働く姿を想像しやすくなります。
【ワンポイントアドバイス】「安心を届けたい」という言葉だけで終わらせず、自分がこれまで、どのような行動で相手に安心を届けてきたのかまで伝えましょう。
例2.「チームワーク」を伝える場合
惜しい回答
私はチームワークを大切にしています。現職でも周囲と協力しながら業務を行ってきたため、その経験をANAでも活かしたいです。
間違った内容ではありませんが、「周囲と協力した」という結果しか見えません。
自分自身が伝わる回答
私は、チームで意見が分かれたときほど、まず相手が何を大切にしているのかを確認するようにしています。現職では、進め方について意見が分かれた際、それぞれの目的を整理し、共通していた考えを言葉にすることで、全員が納得できる方法を選ぶことができました。この経験から、チームワークとは自分の意見を抑えることではなく、互いの強みや考えを活かして、共通の目的に向かうことだと学びました。
ANAの「チームスピリット」という言葉を使わなくても、考え方と行動から、チームの中でどのように力を発揮する人なのかが伝わります。
【ワンポイントアドバイス】「周囲と協力しました」だけではなく、意見や立場の違う相手にどう働きかけ、チーム全体の成果につなげたのかまで具体的に伝えましょう。
例3.CA経験者が「経験を活かしたい」と伝える場合
惜しい回答
これまで客室乗務員として培ってきた安全意識と接客経験を活かし、即戦力としてANAに貢献したいです。
経験者らしい回答に見えますが、どのような安全意識や接客力を身につけたのかが具体的に見えません。
また、「即戦力」という言葉だけが強くなると、新しい組織で学び直す柔軟さが伝わりにくい場合もあります。
自分自身が伝わる回答
これまでの乗務経験を通して、安全は一人で守るものではなく、小さな気づきをためらわず共有し、チーム全体で確認することで守られるものだと学びました。その姿勢は今後も大切にしながら、ANAの安全基準やチームとしての考え方を一から学び直し、これまでの経験を新しい環境の中でより高い価値へつなげたいと考えています。
経験を誇るだけでなく、
- 経験から身につけた考え方
- ANAでどう活かすのか
- 新たに学ぶ姿勢
まで伝えられています。
例4.未経験者が「現職経験を活かしたい」と伝える場合
惜しい回答
現職で培ったコミュニケーション力を活かし、お客様に寄り添える客室乗務員になりたいです。
「コミュニケーション力」や「寄り添う」という言葉だけでは、具体的にどのような力なのかが分かりません。
自分自身が伝わる回答(例:現職が教員の場合)
教員として、生徒全員に同じ言葉をかけるのではなく、表情や反応を見ながら、一人ひとりに伝わる方法を考えてきました。すぐに声をかけた方が安心できる生徒もいれば、少し見守ることで自分から話せる生徒もいます。この経験を活かし、機内でもお客様を一括りにせず、その方が今必要としている関わり方を考えられる客室乗務員を目指したいです。
現職ならではの具体的な視点が、機内での個別対応につながっています。
面接では、経験を聞かれているようで「あなた自身」を見られている
面接では、
- これまでに力を入れたこと
- チームで取り組んだ経験
- 困難を乗り越えた経験
- お客様に喜んでいただいた経験
など、さまざまな経験について質問されます。
しかし、面接官が知りたいのは、出来事の大きさだけではありません。
面接では「どんな経験をしましたか」と聞かれているようで、実際には「あなたはどんな人ですか」が見られています。
同じ状況がANAの現場で起きたときに、
- 何に気づく人なのか
- どのように考える人なのか
- 自分から動ける人なのか
- 周囲にどう働きかける人なのか
- 経験を次の成長につなげられる人なのか
を、過去の経験から確認しようとしています。
だからこそ、特別な経験を探すよりも、普段の仕事や人との関わりを丁寧に振り返ることが大切です。
自分にとっては当たり前に行ってきたことの中にこそ、その人ならではの強みや価値観が隠れていることがあります。
企業研究とは、自分との共通点を見つけること
企業研究とは、企業について詳しくなることだけではありません。
企業が大切にしている価値観と、自分自身の経験との共通点を見つけることです。
ANAらしい言葉を回答に入れることを目的にするのではなく、
- 自分はこれまで、何を大切にして働いてきたのか
- その価値観は、ANAが大切にしている考え方とどこで重なるのか
- 自分の経験を、ANAの現場でどのように活かせるのか
を整理してみてください。
企業の言葉に自分を合わせるのではなく、これまでの経験の中から、ANAで活かせる自分らしい強みを見つけることが、面接につながる企業研究です。
企業研究は「推し活」に近いもの
私は、企業研究は、その企業を熱望している人であればあるほど、楽しい時間になると思っています。
なぜなら、企業研究は、いわば「推し活」に近いものだからです。
大好きな人やグループについて、
- どのような考え方を大切にしているのか
- どんな歴史を歩んできたのか
- どのような挑戦を続けているのか
- どんな仲間たちが活躍しているのか
を知っていく時間は、本来とてもワクワクするものです。
もちろん、
- ちゃんと企業研究をしなければ
- 合格するには、何を調べればいいのだろう
- 面接で何を話せば評価されるのだろう
と、不安になる気持ちもよく分かります。
ただ、企業研究は、正解を探すためだけに行うものではありません。
自分が将来仲間になるかもしれない先輩たちが、これまで何を大切にし、どのような努力や挑戦を積み重ねてきたのかを知る機会でもあります。
今回ご紹介した『Human Capital Story Book』にも、ANAグループの社員が、目の前のお客様や現場の課題に向き合い、仲間と協力しながら価値を生み出してきたエピソードが数多く掲載されています。
それらを読むときに、「面接で使える言葉はないかな」と探すだけでは、少しもったいないように思います。
ぜひ、
- 私はこの考え方が好きだな
- この人たちと一緒に働けたらうれしいな
- この取り組みには、自分の経験とも重なる部分があるな
- 私なら、こんな視点で貢献できるかもしれない
と、自分なりの感想を持ちながら読んでみてください。
企業研究への苦手意識を捨てて、大好きなエアラインの「推しポイント」を、自分らしい切り口で言語化するつもりで取り組む。
その方が、借り物ではない志望動機や、自分自身が伝わる面接回答につながっていくと思います。
まとめ|ANAに貢献できる自分自身を語ろう
『Human Capital Story Book』から見えてきたのは、ANAが求めているのは、サービスが上手な人だけではないということです。
安全を土台に、お客様や現場の小さな変化に気づき、自分にできることを考える。
必要に応じて周囲へ働きかけ、多様な仲間と協力しながら、行動をお客様や組織、社会への価値につなげていく。
そのような社員の力を、ANAグループは価値創造の原動力として捉えています。
ANAに貢献できる人を一言で表すなら、
相手のために考え、自ら動き、その行動をチームやお客様、社会への価値へ広げていける人。
ではないでしょうか。
面接でも、「すごい経験」を用意する必要はありません。
大切なのは、
- その経験の中で何に気づいたのか
- なぜ、その行動を取ったのか
- 周囲へどのように働きかけたのか
- その結果、どのような変化が生まれたのか
- 経験を通して、自分自身がどう変わったのか
を具体的に語ることです。
ANAについて詳しく説明するのではなく、自分自身のどのような部分がANAに向いているのかを伝えることを意識してみてください。
参考資料|ANA Group Human Capital Story Book
今回の記事は、ANAグループが2025年3月に発行した『ANA Group Human Capital Story Book』をもとに、客室乗務員面接対策の視点から考察したものです。
この資料は採用試験のために作られたものではありません。
ANAグループが、人財をどのように価値創造へつなげようとしているのか、実際にどのような社員の行動が価値を生み出したのかが紹介されています。
企業研究では、採用サイトや企業理念だけでなく、人的資本レポート、統合報告書、中期経営計画などにも目を通すことで、その企業が組織として何を目指し、どのような人財を大切にしているのかが、より具体的に見えてきます。
ANAグループを志望する方は、ぜひ公式資料も一度ご覧になってみてください。
▶ ANA Group Human Capital Story Book(2025年3月発行・公式PDF)
参考資料:ANAホールディングス株式会社『ANA Group Human Capital Story Book』(2025年3月発行)
自分の経験を「ANAに貢献できる強み」として言葉にしたい方へ
企業研究を進めても、
- 自分の経験のどこがANAに向いているのか分からない
- 話したい経験はあるけれど、一般的な言葉になってしまう
- ANAらしさを意識するほど、自分らしさが見えなくなる
- 現職の経験をCAの仕事へどう結び付ければよいか分からない
- CA経験者として、なぜANAなのかをうまく説明できない
と悩む方は少なくありません。
CA面接合格メソッドでは、企業に合わせた模範回答をお渡しするのではなく、これまでの経験を丁寧に振り返りながら、
- あなたが大切にしてきた価値観
- 行動に表れている強み
- ANAの現場で活かせる経験
- あなただからこそできる貢献
を、一緒に言葉にしていきます。
ANA既卒客室乗務員、エアージャパンをはじめ、ANAグループ各社を受験予定の方にもご利用いただけます。
ANAの話を上手にするのではなく、ANAで活躍するあなた自身の姿が伝わる面接回答を、一緒につくっていきましょう。
企業研究は、自分と企業との共通点を見つける作業でもあります。
まずは無料相談で、今の課題を整理したい方へ
現在の準備状況や、面接に向けて不安に感じていることをお聞きし、今後どのように準備を進めるとよいかを一緒に整理します。
具体的な面接回答や話し方を準備したい方へ
自己紹介、志望動機、転職理由、自己PR、想定質問などを通して、ご自身の経験とANAが求める人物像を結び付け、面接官に伝わる言葉へ整えていきます。
エアージャパンを受験する方へ
エアージャパンを受験する方は、ANAグループ共通の価値観に加えて、ANAブランドの国際線運航を担うエアージャパンという組織ならではの役割や魅力も整理しておきたいところです。
企業研究や応募書類、面接準備の参考に、こちらの記事もあわせてご覧ください。
この記事の執筆・監修者
長尾 円
『CA面接合格メソッド』代表。JAL・ANAの両社から内定を得た経験をもとに、現在はCA受験生向けに面接対策・ES対策・コミュニケーション指導を行っています。
単なる受験テクニックではなく、「面接官視点でどう伝わるか」「評価されるポイントはどこか」を大切にしながら、新卒・既卒を問わず、一人ひとりの強みを言語化して「自分の言葉で話せる状態」に整えるサポートを行っています。
このブログでは、CA受験生が長く参考にできるよう、JAL・ANAを中心とした採用情報、面接対策、ES対策、選考の考え方をわかりやすく発信しています。
すみだ経済新聞「キーパーソンインタビュー」にて、長尾円の特集インタビュー記事が全3回にわたり掲載されました。詳しくはプロフィールページに掲載しています。
CA面接合格メソッドを初めてご利用の方へ
LINE登録・無料特典・無料相談・サポート開始までの流れを ご利用ガイド でご案内しています。
今、自信をなくしたり、不安な気持ちでいる未来のCAのあなたへ。
CA受験生に向けた
応援メッセージ
も、よろしければご覧ください。
違反が判明した場合、法的措置を講じる場合があります。© 2025-2026 La-Plus / CA面接合格メソッド. All Rights Reserved.
まずは無料で。
CA合格者(新卒・既卒・CA転職)の事例を動画内で紹介。
面接で迷う原因は、努力不足ではなく『順番のズレ』が多いです。独学でつまづきがちな「伝え方」を、合格者の共通点から整理。想定外の質問にも強くなるコツを解説します。【JAL新卒/ANA新卒/ANA既卒/ANAwings既卒/ZIPAIR現役CAから転職】の5名のCA合格者事例も紹介。


