質問に答えたのに落ちる人が見落としている「場の操縦」
質問に答えたのに落ちる人が見落としている「場の操縦」|CA面接は一問一答ではない
聞かれたことには、きちんと答えた。
準備していた自己PRも話せた。
志望動機も伝えられた。
大きな失敗をしたわけでもない。
それなのに、なぜか通らなかった。
CA受験では、こうしたことが珍しくありません。
その理由のひとつとして考えてほしいのが、面接を一問一答の試験として捉えていなかったかということです。
面接官が質問する。
受験生が答える。
また質問される。
また答える。
これを繰り返しているだけでは、面接官との間に会話が生まれにくくなります。
CA面接で見られているのは、準備してきた回答を正確に再生できるかだけではありません。
相手の反応を見て、場の空気を感じ、その場に合わせて自分の出し方を調整できるか。
私は、これを面接における「場の操縦」だと考えています。
「場の操縦」とは、面接を自分の思い通りにすることではない
操縦という言葉を使うと、面接官を誘導したり、自分のペースに巻き込んだりすることを想像するかもしれません。
でも、ここでお伝えしたいのは、その逆です。
大切なのは、自分だけを見るのではなく、相手と場を見ることです。
- 面接官はどんな表情で聞いているか
- どの話に興味を示しているか
- もっと聞きたそうなのか、そろそろ話を終えてほしそうなのか
- 質問のテンポは速いのか、会話を広げたい雰囲気なのか
- グループ面接なら、ほかの受験生は何を話しているか
- 自分だけが長く話しすぎていないか
こうした情報を受け取りながら、自分の話す長さ、内容、表情、声のトーン、出すエピソードまで調整していく。
つまり、場の操縦とは、場を支配することではなく、場に参加している人たちを見ながら、自分のコミュニケーションを調整することです。
面接官が見ているのは、答えだけではなく「反応」
面接では、回答の内容だけが評価材料になるわけではありません。
質問された瞬間から、コミュニケーションは始まっています。
- 質問を聞いているときの表情
- 予想外の質問をされたときの反応
- 考える時間の取り方
- 答えにくい質問をされたときの態度
- 面接官の反応を受けて話を調整できるか
- 話し終えたあと、自然に相手へ会話を返せるか
こうしたところにも、その人らしさが出ます。
準備していた質問には笑顔で流暢に答えられるのに、想定外の質問になった瞬間に表情が固まる。
面接官が少し違う角度から質問すると、用意していた回答に無理やり戻そうとする。
これでは、回答そのものは立派でも、実際のコミュニケーションでは不自然さが残ります。
CAの仕事では、毎回同じ状況、同じお客様、同じ仲間と仕事をするわけではありません。
だからこそ、その場で起きていることに反応し、自分の対応を変えられる力は大切です。
質問に答えることに集中しすぎると、面接官が見えなくなる
受験生はどうしても、面接中に自分の回答へ意識が向きます。
次は何を聞かれるだろう。
覚えてきたことを忘れないようにしよう。
このエピソードも話しておきたい。
あの強みも伝えたい。
そうして頭の中が自分のことでいっぱいになると、目の前にいる面接官の反応を受け取れなくなります。
面接官がすでに十分理解しているのに説明を続けてしまったり、反対に、興味を持っているところをサッと終わらせてしまったりすることもあります。
面接は、自分が準備してきたものを発表する時間ではありません。
目の前の相手と、その場でコミュニケーションをする時間です。
個人面接では「全部出し」をしなくていい
個人面接や、比較的じっくり一人の受験生と話す形式になると、伝えたいことを一度の回答ですべて話そうとする人がいます。
結論を言って、理由を説明して、エピソードを最初から最後まで話して、学びを伝えて、CAになってどう活かすかまで話す。
確かに、準備した内容を全部伝えれば安心できるかもしれません。
でも、個人面接では全部話し切らないことが、会話を生むこともあります。
質問されたことには、まずきちんと答える。
そのうえで、面接官が、
それはどういうことだろう。
もう少し聞いてみたい。
と思える言葉を残して、一度相手に会話を返す。
これも場の操縦です。
面接官が「もう少し聞きたい」と思う余白をつくる
たとえば、強みを聞かれたとします。
そこで、こんなふうに答えることができます。
私の強みは、相手が言葉にしていないことにも気づこうとするところです。接客の仕事でも、お客様の表情を見て声をかけたことがきっかけで、本当は困っていらしたことに気づけた経験があります。
ここで一旦止めてもいいのです。
面接官が興味を持てば、
どんなお客様だったのですか?
なぜ困っていると思ったのですか?
そのとき、どんな声をかけたのですか?
と、質問が続くかもしれません。
そこで初めて、具体的なエピソードを話します。
そうすると、受験生が一方的に長く話すのではなく、面接官と一緒にその人の経験を掘り下げていく会話になります。
面接官がどこに興味を持ったのかも分かります。
そして、そこから次に何を話すかを調整できます。
面接は、全部話した人が勝つのではありません。
質問には答える。でも、続きを聞ける余白も残す。
特に個人面接では、この感覚を持っておくと会話が自然に広がりやすくなります。
面接官の反応がよければ、少し広げる。薄ければ一度止める
自分が話している最中も、面接官を見てください。
たとえば、ある言葉を出した瞬間に、面接官が少し身を乗り出した。
表情が変わった。
メモを取った。
さらに具体的な質問が返ってきた。
そこには、面接官が興味を持った何かがある可能性があります。
反対に、反応が薄くなっているのに、
まだこれもあります。
もう一つお伝えすると……
と説明を足し続ければ、会話のリズムが崩れてしまうこともあります。
大切なのは、面接官の表情を勝手に採点して、
笑ってくれたから合格。
無表情だから不合格。
と判断することではありません。
相手の反応をコミュニケーションの情報として受け取り、自分の次の行動を調整することです。
グループ面接では「場の操縦」の考え方が変わる
一方、グループ面接では、個人面接と同じように考えない方がいい場面があります。
グループ面接は、複数の受験生に対して、あらかじめ決められた時間内で実施されます。
つまり、その時間は自分一人のものではありません。
同じグループになった受験生全員に与えられた時間です。
そこで一人だけ長く話し続ければ、予定していた質問を全員に聞けなくなる可能性があります。
ほかの受験生が話せる時間を減らしてしまうことにもなりかねません。
CAは一人で仕事をする職業ではありません。
限られた時間の中で、仲間と状況を共有しながら動く仕事です。
だからグループ面接でも、
自分がどれだけ話せたかだけでなく、場全体の時間をどう使うか
という視点を持ってほしいと思います。
グループ面接の結論ファーストは、周囲への配慮でもある
グループ面接では、聞かれたことに対して、まず結論から答えることをおすすめします。
これは単に、結論ファーストの方が評価されるという面接テクニックではありません。
限られた時間を、全員で有効に使うためでもあります。
結論を伝え、必要な理由や具体例を簡潔に添える。
質問に対して十分に答えられたら、そこで一度終える。
面接官がもっと聞きたいと思えば、深掘りしてくれることもあります。
自分のアピールを増やすために長く話すことよりも、自分に必要な時間と、周囲に残す時間の両方を考えられることの方が、グループ面接では大切な場面があります。
前の人と同じ回答なら、思い切って変えるのも「場の操縦」
グループ面接には、もう一つ難しさがあります。
自分が準備していた内容を、先に答えた受験生が話してしまうことです。
その瞬間、
どうしよう。私も同じことを言おうと思っていた。
と焦る人もいるでしょう。
もちろん、それが自分にとって最も伝えたい内容なら、同じテーマになったからといって無理に変える必要はありません。
同じテーマでも、その人の経験や考え方が違えば、まったく同じ回答にはならないからです。
ただし、自分の中に別の回答があるなら、その場で思い切って内容を変えるという選択肢も持っておいてください。
面接官も人です。
同じような話が何人も続けば、どれだけ良い回答でも、新鮮さが薄れてしまうことがあります。
そんなときに、
この話はもう出たから、私は違う角度から答えてみよう。
と切り替えられる。
これは、準備不足ではありません。
むしろ、その場を見て、自分の持っている材料の中から最適なものを選び直す力です。
面接官が興味を持って聞けるようにすることも大切
面接官は、一日に何人もの受験生と話していることがあります。
似たような自己PR。
似たような志望動機。
似たようなエピソード。
それが続くこともあるでしょう。
だからといって、奇抜な回答をする必要はありません。
大切なのは、目の前の面接官が興味を持って聞けるように、自分の伝え方を工夫することです。
たとえば、前の受験生とは違う視点を出してみる。
自分にしかない具体的な場面を一つ話す。
個人面接なら、続きを聞きたくなる言葉を残してみる。
グループ面接なら、同じ話が続いていると感じたら別のエピソードを選んでみる。
面接官を飽きさせないことも、相手を見たコミュニケーションのひとつだと私は考えています。
準備した回答を捨てられる人は強い
面接準備は必要です。
何も考えずに本番へ行くことをおすすめしているわけではありません。
むしろ、しっかり準備してほしいと思います。
ただ、準備した回答を絶対にそのまま話さなければならないものにしないことです。
たくさん準備しているからこそ、
今日はこの話を使おう。
この質問なら、別の経験の方が合っている。
前の人と重なったから、こちらに変えよう。
面接官がここに興味を持っているから、もう少し詳しく話そう。
ここは十分伝わったから、これ以上足さなくていい。
と選べるようになります。
準備とは、話す文章を一つ決めて暗記することではありません。
本番で選べる材料を増やしておくことでもあります。
「はい」と答えてから話すことより、自然な反応を大切に
面接練習では、質問されたら必ず元気よく「はい」と答えるように教わることもあります。
もちろん、明るい返事が自然な質問もあります。
でも、すべての質問に同じ表情、同じ声、同じテンションで答える必要はありません。
楽しかった経験について聞かれたとき。
失敗について聞かれたとき。
安全について聞かれたとき。
苦手な人との関わりについて聞かれたとき。
同じ反応になる方が不自然です。
質問を受け取って、一瞬考える。
少し表情が変わる。
大切な質問なら、落ち着いた声で答え始める。
それも自然なコミュニケーションです。
型どおりの反応をすることより、質問の内容と場に合った反応ができることを意識してみてください。
CAの仕事でも「場を見る力」は欠かせない
ここまでお伝えしたことは、面接だけで使うテクニックではありません。
CAの仕事では、限られた時間の中で多くのことが同時に進みます。
お客様の様子を見る。
仲間の動きを見る。
サービスの進行を見る。
安全に関わる変化を見る。
時間を見る。
そして、そのとき自分が何をすべきかを考えます。
お客様とのコミュニケーションでも同じです。
話しかけてほしい方もいれば、静かに過ごしたい方もいます。
初めての飛行機で緊張している方もいれば、仕事で何度も利用されている方もいます。
同じサービス、同じ話し方、同じ距離感が、すべてのお客様にとって心地よいとは限りません。
相手と状況を見て、自分の出し方を変える。
面接で求められる場への適応力は、CAになってから必要になるコミュニケーションともつながっています。
今日からできる「場の操縦」の練習
面接練習では、回答内容だけを確認するのではなく、次のことも意識してみてください。
- 質問を聞いた瞬間の自分の表情を録画で確認する
- 回答を一度短く終えて、どこをもっと聞きたくなるか第三者に聞く
- 同じ質問に対して、違うエピソードを2〜3個用意してみる
- 面接官役の反応によって、話を広げたり終えたりする練習をする
- グループ面接では、自分以外の回答を聞いてから内容を変える練習もする
- 自分だけが長く話していないか、全体の時間も意識する
特におすすめなのは、同じ質問に毎回同じ答えをしない練習です。
回答を一つしか持っていなければ、本番でもそれを出すしかありません。
複数の経験や言葉を持っていれば、その場を見ながら選べます。
まとめ|面接は「答える場」ではなく、相手と一緒につくる場
CA面接では、聞かれたことに答えるのは大前提です。
でも、それだけで終わらないでください。
面接官の反応を見る。
話す長さを変える。
個人面接なら、あえて余白を残して会話を育てる。
グループ面接なら、ほかの受験生と時間を共有していることを意識する。
前の人と回答が重なれば、別の材料を選ぶ。
場の流れによって、準備していた回答を使わない判断もする。
これらはすべて、相手と場を見ながら、自分のコミュニケーションを調整する力です。
面接で自分の魅力を全部出そうとしなくて大丈夫です。
今、この場で何を出すのが一番伝わるのか。
そこまで考えられるようになると、面接は一問一答ではなく、本当の意味でのコミュニケーションに変わっていきます。
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本番で「その場に合わせる力」を身につけたい方へ
場の操縦は、回答を読んだり暗記したりするだけでは、なかなか身につきません。
実際に質問され、相手の反応を見ながら話し、予想していなかった方向から深掘りされる経験を重ねることで、少しずつ対応できるようになります。
個別面接セッションでは、決めた回答をそのまま言えるようにするのではなく、実際の面接を想定しながら、質問の受け取り方、回答の長さ、深掘りへの対応、面接官との会話のつくり方まで確認します。
この記事の執筆・監修者
長尾 円
『CA面接合格メソッド』代表。JAL・ANAの両社から内定を得た経験をもとに、現在はCA受験生向けに面接対策・ES対策・コミュニケーション指導を行っています。
単なる受験テクニックではなく、「面接官視点でどう伝わるか」「評価されるポイントはどこか」を大切にしながら、新卒・既卒を問わず、一人ひとりの強みを言語化して「自分の言葉で話せる状態」に整えるサポートを行っています。
このブログでは、CA受験生が長く参考にできるよう、JAL・ANAを中心とした採用情報、面接対策、ES対策、選考の考え方をわかりやすく発信しています。
すみだ経済新聞「キーパーソンインタビュー」にて、長尾円の特集インタビュー記事が全3回にわたり掲載されました。詳しくはプロフィールページに掲載しています。
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