ESは面接の台本|CA受験で深掘りされても崩れないESの作り方
ESは面接の台本。通過より大事な「深掘りされても崩れない設計」
ES添削というと、
「文章をきれいにする」
「文字数内に収める」
「書類選考を通過できる文章にする」
というイメージを持っている方も多いかもしれません。
もちろん、書類選考を通過しなければ面接には進めません。
ただ、CA受験のESを作るとき、私が見ているのは書類選考のその先です。
このESを読んだ面接官は、どこをもっと聞きたいと思うだろう。
ここを質問されたとき、この人は自分の言葉で話せるだろうか。
ES・動画・写真をすべて見たとき、どんな人物として面接官の目に映るだろう。
そこまで考えて、ES全体を設計します。
ESは、書類選考を通過するためだけの文章ではありません。
面接官との会話につながる「面接の台本」でもあると私は考えています。
まずは文字数を気にせず、伝えたいことを出してみる
ESには、300字、400字などの文字数制限があります。
そのため、最初から文字数を気にして書こうとする方がとても多いのですが、私は最初の段階では、あまり文字数を気にしなくてよいとお伝えしています。
なぜなら、最初から削ることを考えてしまうと、
- その人らしい具体的な場面
- そのとき感じたこと
- なぜその行動を選んだのか
- 本人ならではの言葉
- 面接官がもっと聞きたくなる部分
といった、大切な情報まで抜けてしまいやすいからです。
まずは文字数に縛られず、伝えたいことを出す。
そこから、
何を残し、何を削れば、この人らしさが最も伝わるのか。
を考えていきます。
ESを書く前に「この質問で何を見られているのか」を考える
文章を書き始める前に、もう一つ大切にしていることがあります。
それが、設問の意図を考えることです。
同じ航空会社のESでも、
「あなたの強みを教えてください」
「これまで最も力を入れたことを教えてください」
「あなたらしさが伝わる経験を教えてください」
では、面接官が知りたいことは同じではありません。
まず、
なぜ、この質問をしているのだろう。
この設問から、どんな素養や人物像を確認したいのだろう。
と考えます。
そのうえで、本人が持っているたくさんの経験の中から、どの経験を使うのかを選びます。
書きやすい経験を選ぶのではなく、質問への回答になっていて、なおかつその人の魅力が伝わる経験を選ぶことが大切です。
抽象的な言葉ではなく、その場面が見えるように書く
ESでは、できる限り具体的に書くことを大切にしています。
例えば、
「お客様に寄り添いました」
「チームワークを大切にしました」
「相手の立場になって考えました」
という言葉だけでは、その人が実際に何をしたのかは分かりません。
そこで私は、本人のお話を聞きながら、
- そのとき、どこにいたのか
- 誰がいたのか
- 相手はどんな様子だったのか
- 本人は何に気づいたのか
- なぜ、その行動を取ろうと思ったのか
- 実際に何と言ったのか
- 相手はどんな反応をしたのか
と掘り下げていきます。
その場をもう一度再現するような感覚で話を聞き、表現を探していきます。
事実だけを並べるのではなく、そのときの本人の目線や心の動きまで見えるようになると、文章から人柄が伝わり始めます。
本人が普段使っている言葉を大切にする
ESを整えるとき、きれいな言葉に置き換えればよいとは考えていません。
むしろ、ヒアリングの中で本人が何気なく話した一言の方が、その人らしさをよく表していることがあります。
私はそうした本人がよく使う言葉や、その人ならではの表現をできるだけ拾います。
文章として読みやすく整えることは必要です。
ただし、整えすぎて、
誰が書いても同じようなESになってしまったら意味がありません。
ESを読んだときに、その人の姿が少し見える。
面接で実際に会ったときに、
「なるほど。このESを書いたのはこの人なのだな」
と自然につながる。
その状態を目指します。
AIで作った文章を、そのままESに使わない
今は、AIを使えばESらしい文章を短時間で作ることができます。
アイデアを整理したり、自分では気づかなかった視点を探したりするためにAIを使うこと自体を否定する必要はないと思います。
ただし、AIが作った文章をそのまま自分のESとして提出することはおすすめしません。
文章としては整っていても、
- 本人が普段使わない言葉が入っている
- 具体的な体験の温度が伝わらない
- 似たような表現が並びやすい
- 面接で深掘りされたとき、自分の言葉で説明できない
ということが起こりやすいからです。
ESで重要なのは、文章としての完成度だけではありません。
その文章の向こう側に、本人がいること。
そして、面接で続きを聞かれたときに、本人自身が自分の経験として話せることです。
ESには、あえて「余白」を残す
ESですべてを説明しようとする必要もありません。
むしろ私は、面接官が「ここをもう少し聞いてみたい」と思える余白を意識して作ります。
ESにすべて書いてしまえば、それだけで話が完結します。
一方で、
「なぜ、この人はそう考えたのだろう」
「このあと、どうなったのだろう」
「この経験について、本人から直接聞いてみたい」
と思える部分があれば、そこから面接での会話が生まれます。
もちろん、説明不足にするという意味ではありません。
設問にはきちんと答える。
そのうえで、面接で続きを話せる余白を残す。
これも、ESを面接の台本として考える理由の一つです。
ES全体で「何を伝えるか」を設計する
一つひとつの設問だけを完成させても、ES全体として良いものになるとは限りません。
私は最後に、エントリー全体を一つの作品のように見直します。
例えば、
- 自己PRでは協調性
- 学生時代に力を入れたことでも協調性
- 動画でも協調性
では、同じアピールの繰り返しになってしまいます。
一人の人には、もっとたくさんの魅力があります。
そのため、それぞれの設問にはきちんと回答しながら、
一つの設問で伝える素養は、できるだけ一つに絞る。
そしてES全体では、できるだけ多面的にその人の魅力が伝わるように組み立てます。
動画や提出写真も含めて、一つのエントリーとして考える
動画提出がある場合も同じです。
動画ですでに十分伝えられている魅力を、ESでも繰り返す必要はありません。
例えば、動画から体力や行動力が十分に伝わっているのであれば、ESでは別の素養を見せるという考え方もできます。
実際、ANAの最終面接を受けた教え子が、面接官から「あなたのESはすべて目を通した上で質問しています」という趣旨の言葉をかけられたことがあります。
彼女の場合は動画で体力面をアピールしていたため、面接では体力についてほとんど質問されませんでした。
面接官は、一つの設問だけを見ているとは限りません。
ES、動画、写真など、提出された情報を総合して人物像を見ていることがあります。
だからこそ、エントリー全体で、
どこで、何を伝えるのか。
を考えることが大切です。
写真を見れば伝わることは、あえて文章にしないこともある
提出写真も同じです。
写真を見れば十分伝わることを、限られた文字数を使ってもう一度説明する必要はない場合があります。
明るさ、活動的な印象、趣味や人との関わりなど、写真そのものから伝わる情報もあります。
見れば分かることは写真に任せ、文章だからこそ伝えられることを書く。
限られたエントリーのスペースを有効に使うためにも、この視点は大切です。
ESは文語、面接では口語。同じ内容でも伝え方を変える
ESでは、限られた文字数の中で情報を伝える必要があります。
そのため、私は文語を使い、素早く読んで理解できる文章を意識して整えています。
不要な言葉を減らすことで、限られた文字数の中にも具体的な情報を残しやすくなります。
ただし、面接で同じ内容を話すときに、ESをそのまま読み上げるような話し方はおすすめしていません。
書き言葉と話し言葉は違います。
面接では、相手の表情を見ながら、です・ます調を基本に、自然な会話として伝えます。
ESでは読みやすく。面接では聞きやすく。
内容に一貫性は持たせながら、文語と口語を使い分けることも大切です。
ESで怖いのは、書類通過後に深掘りされて崩れること
書類選考を通過したESでも、面接で詰まってしまうことがあります。
例えば、
- 成果は書いてあるけれど、自分が何をしたのか分からない
- 「工夫した」と書いたものの、何をどう変えたのか説明できない
- 「協調性」をアピールしているのに、意見が対立した場面を聞かれると答えられない
- 文章がきれいすぎて、本人の実体験として話せない
という状態です。
ESを書く段階から、
この言葉を書いたら、面接官は次に何を聞くだろう。
と考えておく必要があります。
深掘りでは「何をしたか」だけでなく「なぜ」を話せるようにする
面接官が知りたいのは、正しい答えだけではありません。
同じ行動をした二人がいたとしても、
- 何に気づいたのか
- 何を大切にしたのか
- 何を優先したのか
- なぜ、その行動を選んだのか
は違います。
そこに、その人らしさがあります。
だからこそ、ESを作るときには「何をしたか」だけではなく、その人の判断基準や価値観まで掘り下げておくことが大切です。
同じような場面でも、その人らしい判断や行動ができるかという「再現性」については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
「合格っぽい答え」で落ちる。面接官が聞いているのは「再現性」
ESを作るときは、面接の想定質問まで考える
ESが完成したら終わりではありません。
書いた内容から、面接官がどんな質問をするのかを考えます。
例えば、
- なぜ、それを選んだのですか?
- そのとき、一番大変だったことは何ですか?
- なぜ、その方法を選んだのですか?
- 周囲はどんな反応でしたか?
- 別の方法は考えませんでしたか?
- 今、同じことが起きたらどうしますか?
などです。
回答を丸暗記するためではありません。
自分が書いた一つひとつの言葉について、自分自身が説明できる状態にしておくためです。
ESに書いた伏線を、面接で自分の言葉で回収できる。
そこまで準備して、初めてESが面接の台本として機能します。
「自分ヒストリー」や「棚卸し」が苦手でも大丈夫
ES対策では、
「自分ヒストリーを作りましょう」
「これまでの経験を棚卸ししましょう」
と言われることがあります。
もちろん、自分でできる方には有効な方法です。
一方で、何年分もの出来事を書き出そうとして手が止まってしまう方も少なくありません。
私は、必ずしも一人で全部を書き出す必要はないと考えています。
ヒアリングで話していただければ、
「それはいつ頃からですか?」
「なぜ、そうしようと思ったのですか?」
「子どもの頃にも似たことはありませんでしたか?」
「普段から無意識にやっていることはありませんか?」
といった質問をしながら、その人の経験や価値観を掘り起こすことができます。
本人にとっては当たり前すぎて気づいていなかったことが、実はその人らしい強みだったということもよくあります。
考え方が分かっても、自分のESになると書けないことは珍しくありません
ここまで読んで、
「なるほど。こうやって作ればいいのか」
と思っていただけたかもしれません。
ただ、実際に自分のESを作ろうとすると、手が止まってしまう方も多くいらっしゃいます。
自分自身のことは、意外と自分では見えにくいものです。
私自身、20年以上CA受験のサポートを行い、航空業界以外も含め、多くの転職希望者の応募書類や職務経歴書にも関わってきました。
ES作成サポートでは、最初に120分のヒアリングを行います。
そこで本人のお話を聞きながら、
- 各設問の質問意図
- どの経験をどこで使うか
- 各設問で何の素養を伝えるか
- ES全体のアピールバランス
- 動画で何を伝えるか
- 提出写真から何が伝わるか
- 面接でどこを深掘りされる可能性があるか
まで整理し、エントリー全体の戦略を立てていきます。
同じ航空会社、同じ設問であっても、完成するESは一人ひとり違います。
その人の人生も、強みも、伝えるべき魅力も違うからです。
まとめ|ESは「文章」ではなく、その人を面接につなぐ設計図
CA受験のESで大切なのは、きれいな文章を書くことだけではありません。
- 質問の意図を考える
- 最初から文字数に縛られすぎない
- 抽象表現を具体的な言葉に変える
- 本人らしい言葉を残す
- AIの文章をそのまま使わない
- 面接官が続きを聞きたくなる余白を残す
- ES・動画・写真を含めて全体を設計する
- 設問ごとに伝える素養を整理する
- 文語と口語を使い分ける
- 面接で深掘りされても自分の言葉で話せる状態にする
ESは、書類選考を通過するためだけのものではありません。
あなたという人を面接官に知ってもらい、面接での会話につなげるための設計図です。
書類を読んだ面接官に、
「この人に会って、もう少し話を聞いてみたい」
と思っていただけること。
そして実際に面接で会ったときに、ESから感じた人物像と目の前のあなたが自然につながること。
そこまで見据えて、ESを作ってみてください。
ES作成を一人で進めるのが難しい方へ
この記事を読んで、一度ご自身で作ってみることも大切です。
そのうえで、
- 考え方は分かったけれど、自分のことになると書けない
- 自分の強みや、どの経験を使えばよいのか分からない
- ES・動画・写真を含め、何をどこでアピールすればよいのか迷っている
- 書類は作れたけれど、面接で深掘りされたときに答えられるか不安
- 提出期限が近づいている
というときは、早めに頼ってください。
ES作成サポートでは、120分のヒアリングをもとに各設問の戦略を立て、本人とのやり取りを重ねながら仕上げていきます。
文章作成だけではなく、動画シナリオ、アナウンス動画へのアドバイス、エントリー時の記入項目など、提出写真の撮影以外のエントリーに必要な項目を一緒に確認します。
通常、多くの方は約10日間でエントリーを仕上げています。
提出期限が迫っている場合には特急プランで対応できる場合もありますので、「自分では難しい」と感じた時点でご相談ください。
ES作成サポートのページでは、実際にサポートをご利用くださった方々の声も一部ご紹介しています。
どのようなサポートなのか、実際に利用した方がどのように感じたのかも含め、ご検討いただく際の参考にしていただければと思います。
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この記事の執筆・監修者
長尾 円
『CA面接合格メソッド』代表。JAL・ANAの両社から内定を得た経験をもとに、現在はCA受験生向けに面接対策・ES対策・コミュニケーション指導を行っています。
単なる受験テクニックではなく、「面接官視点でどう伝わるか」「評価されるポイントはどこか」を大切にしながら、新卒・既卒を問わず、一人ひとりの強みを言語化して「自分の言葉で話せる状態」に整えるサポートを行っています。
このブログでは、CA受験生が長く参考にできるよう、JAL・ANAを中心とした採用情報、面接対策、ES対策、選考の考え方をわかりやすく発信しています。
すみだ経済新聞「キーパーソンインタビュー」にて、長尾円の特集インタビュー記事が全3回にわたり掲載されました。詳しくはプロフィールページに掲載しています。
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